文字の大きさ|
お問い合わせ   サイトマップ

ジャンプアップ福祉フォーラム
かわさきJプロジェクト 平成23年度成果発表

開  催  日:
平成24(2012)年3月13日(火)
開場12:00 閉場20:00 入退出自由
会    場:
ソリッドスクエアホール
(川崎市幸区堀川町580 ソリッドスクエア地下1階)
概    要:
「かわさきJプロジェクト」が、本年度に取り組んだ試作開発品の発表です。福祉とものづくりのパートナーシップを深めることを目的に、双方の現場で活躍するフロントランナーの皆様をお迎えして、特別講演と座談会も開催。“真に必要とされる福祉機器・福祉サービス”とは何か? をテーマに、議論が行われ、111名の方にご来場いただきました。(参加無料・事前登録制)
プログラム:
12:00  試作開発品・かわさき基準認証福祉製品・関連福祉機器展示 ~20:00 
    ~利用者の自立を助け、介助者の負担を軽減する福祉機器の展示~ 
14:00  主催者あいさつ 川崎商工会議所企画広報部 (川崎市地域雇用創造推進協議会事務局) 
14:10  成果発表「かわさきJプロジェクト平成23年度試作開発福祉機器」
    ~福祉現場のニーズから生まれた福祉機器のプレゼンテーション~
    事業説明/電話集音器・移動補助具・ブレーキ改良歩行車・便座離座センサー・おむつ交換カート
       詳細はこちら>>
15:30  特別講演「“おむつゼロ”が介護を変える!」 
    ~どうやっておむつを外すことができたのか? それを助けた“トイレでふんばる君”の開発~
    講師:特別養護老人ホーム世田谷区立きたざわ苑施設長 岩上広一氏
    詳細はこちら>>
16:30  試作品説明ツアー 開発担当者がご説明します 
17:40  座談会「真に望まれる福祉機器・福祉サービスの開発から普及まで」
    ~福祉現場のニーズを製品に結びつける福祉コーディネートの意義~
    出席者:きたざわ苑施設長 岩上広一氏 
        (株)伊吹電子代表取締役 松田正雄氏 
        ベクトル(株)代表取締役 小山久枝氏 
    座長:横浜市総合リハビリテーションセンター地域リハビリテーション部研究開発課長 飯島浩氏 
    詳細はこちら>>
19:00  閉会のあいさつ 川崎市経済労働局労働雇用部 (川崎市地域雇用創造推進協議会事務局) 
19:10  試作品説明ツアー 開発担当者がご説明します 
20:00  閉場 

◇ チラシ(PDF)当日の様子はこちらアンケートの結果

成果発表「かわさきJプロジェクト平成23年度試作開発福祉機器」

かわさきJプロジェクトが取り組む5つの福祉製品について発表しました。

①「電話用音声集音器:でんでん」 詳細(PDF)はこちら
②「移動補助具:自立支援BAR」 詳細(PDF)はこちら
③「ブレーキ&ハンドル改良歩行車:自力でサンポ」 詳細(PDF)はこちら
④「便座離座センサー」 詳細(PDF)はこちら
⑤「おむつ交換カート:キュービックカート」 詳細(PDF)はこちら

特別講演「“おむつゼロ”が介護を変える!」
~どうやっておむつを外すことができたのか? それを助けた“トイレでふんばる君”の開発~

  衝撃的なタイトルですが、平均要介護度4の特養-世田谷区立きたざわ苑-は2009年2月にこれを達成し、入所定員100名全員がおむつをつけることなく、トイレ(ポータブルトイレを含む)に座って用を足しているのです。全国6000余の特養でも20施設強しか達成できていません。それは施設の職員にとって非常に過酷な労働環境なのでしょうか?

  岩上広一施設長は微笑みながら否定します。職員の充実感が高まり、離職率も非常に低くなっていると。国が定める老健施設や特養が目指すべき目標、利用者の権利と義務-これを忠実に実行すれば、寝たきりや(車いすに)座らせきりの利用者をそのまま受け入れることはできないのです。いくつかの事例がスライドで紹介されました。いずれも普通はもう2度と歩く事は出来ないと思われる方々がきたざわ苑で生活すると2~3カ月後には歩いて(歩行器や杖は使用します)移動できるのです。介護する職員は自信を持ち、おむつ交換や排泄誘導から解放され、介護とは何かを自覚的に勉強するのだそうです。

講演内容の見出しは次の通りでした。
1.きたざわ苑の事業  
2.特別養護老人ホームってどんなところ?
3.国が目指す施設は・・・・・・
4.寝たきりになったら・・・どういう介護を受けたいですか?
きたざわ苑の介護はこんな感じです(映像でご覧ください。)
5.リハビリするのは、国民の努力と義務って知ってましたか?
6.きたざわ苑のニーズの考え方
7.自立支援って?
8..基本の理論は、「水・飯・クソ・運動」で元気一杯
9..全員が同じ考えで実施する組織をつくる
10.オムツはずしってどんなこと・・・「うんちをトイレですること!!」です。
11.オムツはずしのポイント
12.排便7つのケアの原則
13.環境整備とふんばる君
14.どうして「トイレでふんばる君@」をつくったのか
15.きたざわ苑職員の介護の様子(映像)

  「“おむつゼロ”…」は一つの目玉、代表選手であって実際には利用者本人の生活の自立を支援するトータルな介護を、理論に基づいた方法で実践することなのです。
  講演の細かな内容は省略しますが、ご興味のある方はかわさきJプロジェクトにぜひお越し下さい。もっと詳しくお話ししましょう。

座談会「真に望まれる福祉機器・福祉サービスの開発から普及まで」
~福祉現場のニーズを製品に結びつける福祉コーディネートの意義~

  横浜市総合リハビリテーションセンター地域リハビリテーション部開発課長の飯島浩氏を座長とした座談会では、当日の特別講演の講師であり「トイレでふんばる君」の開発者でもある岩上広一氏と、市内で聴こえを助ける拡聴器「クリアボイス」を製造販売している(株)伊吹電子の松田社長、そして同じく市内で特殊な滑り加工の移乗ボード「らくらくボード」を製造販売しているベクトル(株)の小山社長の3名が登壇し、来場者も交えた中身の濃い意見交換が行われた。私たちが座長に飯島氏をお願いしたのは、日頃から福祉機器の評価や在宅障がい者・高齢者の環境整備、福祉機器の供給などに深く携わり、福祉現場・ものづくり現場双方に精通していると考えたからだ。

  まずは松田社長から会社紹介があった。高津区で下請けとして液晶プリント基板の組み立てをしている松田社長がクリアボイスを開発したきっかけは、母親が聴こえないことから認知症になったのをなんとか助けたいとの思いからだった。段ボールで第一号試作機を作ってから改良を重ね、製品化し、9800円と価格を抑えたことやマスコミに取り上げられたことなどから市場に浸透、銀行や役所の窓口に置かれるようになった。また胡錦濤主席来日の折には川崎市長が1台を贈呈、これを機に注文を頂くまでになったという。

  次に小山社長からは介護施設で働く友人の苦労から「らくらくボード」の製品化を考えたが、なかなか普及せず苦戦を強いられている。施設でも若い介護士さんは積極的に使いたがるのだが、ベテランの介護士さんは福祉機器に拒否感を示し、浸透するのに時間がかかる。また介護用品の流通システムの複雑さにも苦労させられているとの話があった。

  さらに来場していた「トイレでふんばる君」の製造に当たっている(株)ピラニアツール社長の尾田氏からは、「介護製品作りは遣り甲斐のある仕事。今は、介護は儲からないから手を出したくないという企業が多いが、ふんばる君がうまく行けば介護製品は儲かるという流れになり、乗り出す企業も増えると思う」と福祉機器市場の将来に期待する発言もあった。

  最後に座長の飯島氏は「介護技術に頼るのではなく、機器をうまく使ってゆとりある介護をすることも大切な要素。福祉機器の製品化については、女性の優しい視点は必要で、ニーズとシーズのマッチング、デザイン、そして流通も併せて考えることが大切。三者に共通しているのは現場のニーズを的確に吸い上げていること。利用者の、お母様の、お友達のニーズにどう答えるか、それをいかに臨床の場面で安く、早く、機能的に具現化するかを実際にやり、成功している。また人のネットワークも重要で、今回のフォーラムが、良いネットワークとなって連携を深めて行く場になれば良い。いろいろな立場の企業同士が連携して、問題を抱えている方々にどのように福祉機器・福祉サービスを提供して行くかということを一緒に考えて行きたいと思う」とまとめた。

  福祉現場のニーズを吸い上げ、ものづくりの力で、より良い福祉機器を作り、福祉環境の改善を目指す私たちとしては、今後どのように事業を展開していくべきかを示唆された座談会であった。

アンケートの結果

【自由記述欄】

かわさきJプロジェクトの試作品について
  • 介護される人の感じること、女性の視点、エンジニアが没頭して開発することの危険さなど、大切だけれどもつい見落としてしまうポイントをおさえて開発されていることに、とても感銘を受けました。
  • 介護の現場に福祉機器や新しいサービスを取り入れることはとても時間がかかることで、忍耐が必要であることを痛感しました。
  • 数日~1か月程度のモニタリングでは、本当の意見をいただくことが難しいのかなとも感じました。
  • 今後の高齢化に対応していくためには、新しい福祉用具、サービスの創出が必要だと思いますので、このような新しい試みに対しては積極的に協力していければと個人的に思っています。
  • 「こんなものがあったら良いな」と思うものばかりでした。
  • 全てがアイデアは大変良いのであとは個人で使えるようなコンパクトなもので安価なものを開発してください。
  • 試作成果発表の発表者がおだやかでよかった!
  • 地元で様々な工夫をして福祉機器の開発、改良されていることを知った。同じ地域内で横の連絡をとり良くしていければと思った。
  • ニーズをひろっていくのはやはり介護現場で働いている方々の声からですね。
  • 俳句の知人が聴こえにくくなっている高齢者が多いので集音器に興味があった。
  • 開発の着想の段階からコーディネータが入って現場とメーカーをコーディネートして道具を開発して行くスキームが新しく感じました。

特別講演・座談会について

  • 特別講演よかったです。同様の取り組みをしている施設も増えてきている中、自分の施設でどうしたら具体的に取り組めるか考えさせられました。
  • 福祉についてきちんと考えたのは初めてでした。おむつ外しのお話は驚きました。
  • 「“おむつゼロ”が介護を変える!」の講演は大変興味深く感じました。このことのみでなく各施設が利用者のことを考えて自立支援の工夫をしていけば、たくさんの事が解決されると思いました。
  • 福祉の法律をもっと知りたくなりました。どう生きたい どう過ごしたいのか本当に考えたい。すごく考えさせられ、聞いてよかったです。
  • 講演、座談会の話の中で気づかされること多くありました。今後に生かしたいと思います。
  • きたざわ苑の皆様の努力の結果だと思います。
  • 非常に参考になる話でした。高齢者の気持、本音が出るように希望にそえるというのは、理想的ですね。これから高齢化社会に向い自分なりの考え方が身につけば良いなと思います。また、おむつなしで自分の足で元気に過ごせるように努力しなければと思いました。
  • 施設の方々の努力、熱意がつたわります。こういう施設もあるということ、心強く感じました。入所している方々も笑顔で幸せだろうなと感じました。
  • 「自立支援」は難しいと思い込んでいて、結局何もしないのが施設です。それに慣れた入所者も家族も、そんなもんだと思ってしまう。
  • 強い意志をもって取り組みたいと考えています。竹内先生の理論を勉強中です。大変参考になりました。

会場・展示について

  • 会場良かったが、KISの展示の出展数少なくがっかり?! 相互連携の強化のあり方が課題。
  • ホール内展示ブースのみ見学し説明を聞きたかったのですが、プレゼンテーションと同じ会場の為それが出来ず残念でした。時間に余裕がない者にとっては、せっかくの展示をあまり見ることが出来ませんでした。ホール外ではいつでも話ができ、詳しく説明していただきとてよかったです。
  • KISやアイデアコンテストとの連携による展示を期待します。幅広い業種業界の参加が期待できると新たな交流やビジネスのきっかけが出来るかも。

その他全般

  • 内容的には良い話ばかりですが場所のホールがわかりにくかったです。一般の方が少なく、場違いなところへ来たかと思いました。ためになる良いフォーラムなのにもったいないなと感じました。
  • 今後増々高齢化社会にどのような生き方をと模索しています。ますます良い機器が開発されますようにと思っております。
  • 施設では機器のリースが出来るとありがたい。歩行器やセンサー等必要な数が刻々と変わる。故障も多く、すぐに対応してもらいたいのでリースが望ましい。
  • 川崎市の人が対象なのか知らなかったので、広報範囲を広げてほしいと思いました。

Copyright © 2010 kawasaki J-project All Rights Reserved.