臨海副都心の都会的な風景の中を走る「ゆりかもめ」。無人で動く近未来的なこのモノレールに乗って、第37回国際福祉機器展を見てきた。国内外492社より出展された、20,000点にものぼる福祉機器が展示され、3日間の入場者数は約12万人。最新の福祉機器を試用できるとあって、施設従事者や障がい者自らが熱心に説明を聞き、試している風景があちこちで見られた。
同時に介護者向けの講座や、出展業者によるワークショップも開催され、プロの視点からすぐに役立つ最新情報も提供されていた。食事時にエプロンを使わないことで、笑顔と会話が増え、自立支援に役立っているという「食事エプロン0活動」や、フットケアを取り入れることで、利用者とのコミュニケーションが増し、褥瘡防止にも役立っていると発表した特別養護老人ホームなど、現場で開発された福祉サービスの工夫事例は、これからの福祉サービスの在り方を示唆していると思われる。
出展ブースで人気があったのは介護ロボットHAL。随意的制御機能を持ち、自らの意思で動かすことができるHALは、リハビリや歩行支援具として、障害を持つ人々や医療関係者から、熱い期待が寄せられている。また、神奈川県のモデル事業として、県内2施設に貸与・導入され、モニタリングの最中でもある。一方、介護食の展示も目立った。一見素材そのものに見える再形成食品は、柔らかく飲み込みやすく加工されているが、味も香りも本物と比べて遜色がない。見た目にも配慮したレトルト食材は、ミキサー食やきざみ食では味わえない「食べる喜び」を提案しているという。福祉サービス同様、福祉用具も「補うための道具」から「前向きに生きるための道具」へとニーズが広がってきているのだろう。 Jプロジェクトがより良いサービスや福祉用具を開発するにあたっては、ニーズを把握することが必要。そのためには集めてきたパンフレットやカタログをじっくりと検討しようと思うが、三日で集めた資料は段ボールに山ほど…開発への道のりは、かなり遠いようである。(佐々木)
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