野中さんが介護用品製作の仕事を始めたのは5年前。元は自動車の板金塗装の仕事を長年やっており、現在の工房もその時の工場をそのまま使っています。「鉄板1枚から車の扉を作れる」という腕前で、ワゴン車を改造してキャンピングカーを作ったり、釣り好きが高じて和竿を作るのにこったりと、根っからの職人気質です。
工房での野中さん。いろいろな物があって、おもちゃ箱をひっくり返したよう |
そんな野中さんが介護用品を作るようになったきっかけは、お母さまが片麻痺になり車いすを使うようになったことでした。お墓参りに行きたいというお母さまを連れて行こうとしたのですが、車いすではお寺の砂利道を進むことができません。いくつかの車いすメーカーを回りましたが、砂利道も走行できる車いすは見つかりませんでした。ならば作ってしまえ、と生まれたのがどこへでも行ける車いす「てだすけくん」です。これは、従来の車いすにアームを付け、そのアームを前に持ってくることで、車いすを押すのでなく引くことができるようにした人力車式の車いすです。「前から引くことで、力の負荷が少なくてすみ、坂道でも後ろに転倒する心配が無く、前輪を持ち上げることもできるので、砂利道や芝生などのでこぼこ道でも楽に進むことができる」と野中さん。アームは折りたたんで収納できるので、普通の車いすのように後ろから押して使うこともできます。私も引かせてもらいましたが、後ろから押す時は腕の力を使っているのに対し、前から引くと腰を使い、楽に引ける感じがしました。
アームを伸ばした状態。高さを調節して固定できる。 |
介護アイデア工房では、その他にも、車いすに付ける雨よけや日傘、背もたれの角度が調節できるシャワーチェアなど、多種多様な製品を製作し、車いすのパンクなどの修理も請け負っています。野中さんに来る相談は、大手メーカーはじめあちこち当たったけれど希望に叶ったものが見つからなかった、あるいは断られたという相談ばかりです。大手企業や既存の製品でカバーできない部分を自分の腕一本でこたえる気骨の職人、野中さんは利用者の立場から考えている作り手なのでした。
介護アイデア工房の主力ラインナップ。 左から、雨よけ付き車いす、日傘付き車いす、てだすけくん。 |
介護アイデア工房のホームページ http://www9.plala.or.jp/kaigoideakoubou/
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