神奈川県立保健福祉大学は保健・医療・福祉の総合的人材を養成する拠点として、県立衛生短期大学と県立栄養短期大学を母体に、2003年に作られた単科大学である。
看護、栄養、社会福祉、リハビリテーション各学科の保健福祉学部と保健福祉学研究科の大学院からなり、社会環境の変化に対応した実践的な研究をする市民に開かれた大学として、高度な専門性を身に付け、なおかつ高い倫理観をもってヒューマンサービスを実践できる医療・福祉人材の育成に取り組んでいる。在校生は学部・院併せて約1000名。京浜急行横須賀中央駅から歩いて15分ほどのところにあり、中央に吹き抜けのあるガラス張りの校舎からは横須賀の海が一望できる。学食も明るくて開放的、中でも海鮮丼は500円と格安で、新鮮でおいしいと評判である。
今回訪問したリハビリテーション学科作業療法専攻の玉垣努先生は、3月までは神奈川総合リハビリテーションセンターに所属し、Jプロがフォーラムでお世話になった横浜リハビリテーションセンターの飯島浩先生とも一緒に働いていたことがあるという。そういえば、気さくでエネルギッシュなところは似ているかもしれない。
東北大震災の際には、ボランティアで駆け付けた仮設住宅の高齢者が入浴に困っているのを見て、イレクターで段差解消シャワー椅子を作って提供した。「矢崎のイレクターは切ってジョイントをはめて接着すれば何にでもなり、丈夫で便利。広く普及していて、パーツがなくならないのが良い。百均だとすぐに商品が入れ替わっちゃうからね。福祉製品はこういうベースを作ることが大事。ベースがあればそこから色々な物を作れる。企業にも、小さなアクチュエーターや家庭用蓄電池など基幹部分を作ることを勧めている」と私たちにとっても貴重な提言をしてくれた。
「『できる』よりは『やれる』環境を作ることが大切。介護の前に利用者の『できる』ことをいかに広げるかが重要。ロボットなど全介助の福祉機器は大企業に任せて、障害者や高齢者の生活を支援、補助するものを作るべき」という言葉は、日々障害者に接し、彼らの生活支援に長年携わってきたからこその結論なのだろう。さらに「福祉機器の開発は企業に任せることが大切。利用者のために安く道具を作ってあげるのは簡単なことだけど、われわれOTがいつまでもそれをやっていたんじゃ福祉産業は育たない。企業に任せて、作らせるようにしないと。本当に必要な物なら利用者はお金を払って買うはず」とも。
自立支援と福祉産業の振興を現場レベルで見つめる玉垣先生の視点の先には、いつも利用者の顔が見えているようだ。
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